どこまでも、まよいみち

猫の親子

昔々あるところに、猫の親子がおりました。ある朝、親猫は用事ができて、出かけなければならなくなりました。親猫は子猫に言いました。
「いいかい、私が帰ってくるまでの間、けっして外に出てはいけないよ。外には大きなカラスがいて、子猫を見つけるとすぐに食べてしまうんだからね」
そして親猫は、子猫を家に残して出かけて行きました。

子猫はひとりでじっと家におりました。やがて昼になり、子猫はおなかがすきました。子猫のおなかはぐうぐうと鳴りました。しかし、家の中には、食べ物は何一つありませんでした。子猫のおなかは、またぐうぐうと鳴りました。子猫が外を見ると、小さな小鳥がちゅんちゅんと地面をつついていました。小さなヤモリもちょろちょろと地面を走っていました。小鳥もヤモリも、とてもおいしそうでした。子猫のおなかは、またぐうぐうと鳴りました。

子猫は我慢ができなくなって、家の外に飛び出しました。そして素早くヤモリにとびかかり、鋭い爪でヤモリを捕まえて、ぱくりと食べてしまいました。子猫は次に、地面をつつく小鳥に狙いを定めると、素早く小鳥にとびかかり、ばくばくと小鳥を食べてしまいました。子猫はすっかり満足して、ゆったりとその場に座り、気持ちよく毛繕いをはじめました。

ところが、この子猫の様子を、大きなカラスが見ていました。大きなカラスは、毛繕いをする子猫に狙いを定めると、バッサバッサと飛んできて、その大きな足で子猫を捕まえようとしました。あぶない! しかしちょうどそのとき、用事を済ませて帰ってきた親猫がこれを見つけました。そして猛スピードで走ってくると、さっと子猫をくわえて走り去り、そのまま家にとびこみました。子猫はその小さな命を親猫に助けられたのでした。家の外では子猫を捕まえ損ねた大カラスが、悔しがってギャアギャアと騒いでいました。子猫は自分がもう少しで大カラスに食べられてしまうところだったと知ると、急にぞくぞくと怖くなって、親猫にしがみついて泣き出しました。子猫がわんわん泣いている間ずっと、親猫は、よしよしと子猫をなぐさめてやりました。

今では子猫はすっかり大きくなったので、大カラスに狙われることはなくなったのだとさ。めでたし、めでたし。

2009.02.14

  背景画像:フリー素材 * ヒバナ