どこまでも、まよいみち

おしろい

むかしむかしあるところに、かわいいこどもがおりました。
ところがあるとき死神が、このこどもを迎えにくることになりました。
みんなはたいへん悲しみました。
世界中の人たちも一人残らず悲しみました。
こどもを連れて行かせずにすむ方法はないものか!

そのときこどものお母さんが、おしろいをとり出して、こどもの顔に塗りました。
そしてみんなの顔にも塗りました。
みんなの顔が真っ白になり、誰が誰なのかわからなくなりました。
世界中の人たちは、みんな自分の顔を真っ白に塗りました。
世界中の人たちが一人残らず、誰が誰なのかわからなくなりました。

そこへ死神がやってきました。
死神はこどもを探しましたが、みんながみんな真っ白で、誰が誰なのかわかりませんでした。
黒い死神はたいそう困って、ひとりでしょんぼり帰って行きました。
こどもは連れて行かれずにすみました!
みんなはたいそう喜んで、顔を洗うのも忘れて、踊って歌って飲んで食べて、きっといまでもそうしていますよ。

おしまい。

2009.02.07

  背景画像:フリー素材 * ヒバナ